1-6.「45度線」分析

前節<(学習の目的)
均衡国民所得の決まり方について、グラフを用いて説明します。


関連動画「45度線分析とは?」


45度線分析とは?

同じく、「三面等価の原則」をグラフの形であらわしたのが、45度線分析です。

  • なぜ「45度線」ということばを使うかというと、原点(0の点)を通る右上がりのグラフの傾きが45度になるからです。

三面等価の原則をグラフで表現

  • 三面等価の原則とは国民所得が、「生産」「分配」「支出」のどこからみても等しくなることです。
  • 45度線分析では、この3つをグラフで示して、均衡国民所得の決定を説明します。
  • 均衡国民所得とは、総需要(支出面)と供給(生産面)が一致する状態です。
  • この2つを結び付ける役割として分配面として「総分配」を考慮に入れます。

つまり45度線分析のグラフでは、「生産された付加価値は分配されて、支出にまわされる」ことを表すのです。


グラフの横軸と縦軸

  • 「L」字型の座標を書きます。
  • 原点(Lの左下)に「0」と書きましょう。
  • グラフの横軸には「Y」と書きます。
  • これは「総分配」を表します。
  • 縦軸は総需要と総供給を示します。
  • それぞれ「Yd」と「Ys」と書きます。
  • これは、「生産(供給:supply)面からみた国民所得」と「支出(消費:demand)面からみた国民所得」という意味です。

45度の線があらわすこと

まず、「生産された付加価値は分配される」ことを表します。

  • これは「Ys」(総供給)と「Y」(総分配)が一致することです。
  • YsがゼロのときはYもゼロ、Ysが100のときはYも100、Ysが500のときはYも500です。
  • この関係はグラフで示すと、原点ゼロを通る右上がりの45度の線になります。
  • 数学の表現では「傾きは1」です。


総需要のあらわしかた

続いてこのグラフに、総需要(Yd)の「消費+投資(C+I)」を書き込みます。

  • 「Yd」は、消費関数「C=C0+c1・Y」と投資(I0)を代入してあらわすと、「Yd=C0+c1・Y+I0」となります。
  • この式の中で、「基礎消費」(C0)と「投資」(I0)は「Y」の値とは無関係に決まっているので、縦軸の部分に描きます(C0+I0)。
  • 数学の「縦軸切片」の部分です。

限界消費性向と直線の傾き

  • 次に、「c1・Y」を書き込みます。
  • これは、所得として分配された「Y」のうち、「限界消費性向」(c1)の割合だけ消費されることをあらわしています。
  • この「限界消費性向」(c1)はグラフの傾きをあわらします。
  • 縦軸切片(C0+I0)から右上がりの直線を描くわけですが、ここで注意。
  • 限界消費性向は「0<c1<1」の値をとると仮定しておりますので、直線の傾きは「1」より小さくなります。

macro106_3
macro106_4
よって、総需要(Yd)の「消費+投資(C+I0)」をあらわす直線は、45度線よりはゆるやかな傾きになります。


交点で均衡国民所得

  • ここまでで2つの直線がでてきました。
  • 「総供給(Ys)=総分配(Y)」をあらわす45度線と、「総分配(Y)→総需要(Yd)を表す直線です。
  • この2つの直線は、1点で交わります。

この交点では、「総供給(Ys)=総分配(Y)=総需要(Yd)」となり、需要と供給が均衡する「均衡国民所得」(Y*)があらわされていることになります。

  • グラフでは、交点から横軸にむけて点線を描いて、横軸に「Y*」と書き示すのが一般的です。

→ 次は「インフレ・ギャップとデフレ・ギャップ」です。45度線グラフを使って説明します。


1.財市場
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