5-1b.独占の利潤最大化条件の導出

4-2.厚生経済学の基本定理 < 5-1.独占  < (利潤最大化条件の導出)> 5-2.複占

独占企業の利潤最大化条件
限界収入限界費用
MRMC


「完全競争」市場のときと同様に、「独占」企業の「利潤最大化条件」については、いくつかの導出方法があります。

【復習】完全競争の利潤最大化条件
基本的に、こちらですでに紹介した、完全競争と同じ説明のやりかたです。
(参考→完全競争市場の利潤最大化条件の導出方法


(導出方法 ①微分を用いる)

まずは、微分を用いた説明をみていきましょう。

微分で求める利潤最大化条件〔不完全競争〕(ミクロ5不完全競争市場)2 [3:37]

「利潤」(π)は「総収入」(TR)から「総費用」(TC)を引いたものです。
π =TR-TC
(利潤=総収入-総費用)

  • 「完全競争」市場では、この「総収入」(TR)は「価格(P)×生産量(X)」であらわされました。
  • これは、「完全競争」市場では、「価格」が自分の影響がおよばないところで決まるからです。
  • これに対して「独占」市場では、「価格」は「生産量」が決まった後で明らかになります。

よって、「総収入」(TR)は「価格」(P)を用いずに、次の形のままであらわします。
π =TR-TC
(利潤=総収入-総費用)

「利潤」を「生産量で微分」します。
⊿π/⊿X = ⊿TR/⊿X - ⊿TC/⊿X

  • 「⊿TR/⊿X」は、「総収入を生産量で微分」した「限界収入」(MR)のことです。
  • また、「⊿TC/⊿X」は、「総費用を生産量で微分」した「限界費用」(MC)のことです。

これをまとめると次の形になります。
⊿π/⊿X = MR - MC

この式を「イコール・ゼロ」(=0)とおくことにより、利潤最大化条件が求められます。

MR-MC=0

これを整理すると、次の形になります。
MR=MC
(限界収入=限界費用)

これが「独占」市場の「利潤最大化条件」となります。


(導出方法 ②対偶法を用いる)

次に、「完全競争」市場の場合と同様に、対偶法を用いた説明をおこないます。

ここでは、「独占」市場の利潤最大化の条件が「限界収入=限界費用」でない状態を想定して、考察します。

①「限界収入(MR)限界費用(MC)」の状態で企業が生産する場合

  • 企業は生産量を「増加」させることによって、さらに「利潤」を増加させることが可能になります。
  • なぜならば、生産量を追加的に1単位増やすことによって得られる「総収入の増加分」は、生産量を追加的に1単位増やすために必要となる「総費用の増加分」より「大きくなる」からです。

②「限界収入(MR)限界費用(MC)」の状態で企業が生産する場合

  • 企業は生産量を「減少」させることによって、さらに「利潤」を増加させることが可能になります。
  • なぜならば、生産量を追加的に1単位減らすことによって得られる「総収入の減少分」は、生産量を追加的に1単位減らすことによる「総費用の減少分」より「小さくなる」からです。

(導出方法 ③グラフを用いる)(保留)
「独占」市場の利潤最大化の条件については、もうひとつグラフを用いたものがありますが、ここでは保留としておきます。


→次は「複占」です。企業の数が2つになりますが基本的な考え方は独占と同じです。

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