前節<(学習の目的)
均衡国民所得の決まり方について、グラフを用いて説明します。
45度線分析とは?
- ここまでで説明した内容は、「三面等価の原則」を式で表したものです。
同じく、「三面等価の原則」をグラフの形であらわしたのが、45度線分析です。
- なぜ「45度線」ということばを使うかというと、原点(0の点)を通る右上がりのグラフの傾きが45度になるからです。
三面等価の原則をグラフで表現
- 三面等価の原則とは国民所得が、「生産」「分配」「支出」のどこからみても等しくなることです。
- 45度線分析では、この3つをグラフで示して、均衡国民所得の決定を説明します。
- 均衡国民所得とは、総需要(支出面)と供給(生産面)が一致する状態です。
- この2つを結び付ける役割として分配面として「総分配」を考慮に入れます。
つまり45度線分析のグラフでは、「生産された付加価値は分配されて、支出にまわされる」ことを表すのです。
グラフの横軸と縦軸
- 「L」字型の座標を書きます。
- 原点(Lの左下)に「0」と書きましょう。
- グラフの横軸には「Y」と書きます。
- これは「総分配」を表します。
- 縦軸は総需要と総供給を示します。
- それぞれ「Yd」と「Ys」と書きます。
- これは、「生産(供給:supply)面からみた国民所得」と「支出(消費:demand)面からみた国民所得」という意味です。
45度の線があらわすこと
まず、「生産された付加価値は分配される」ことを表します。
- これは「Ys」(総供給)と「Y」(総分配)が一致することです。
- YsがゼロのときはYもゼロ、Ysが100のときはYも100、Ysが500のときはYも500です。
- この関係はグラフで示すと、原点ゼロを通る右上がりの45度の線になります。
- 数学の表現では「傾きは1」です。
総需要のあらわしかた
続いてこのグラフに、総需要(Yd)の「消費+投資(C+I)」を書き込みます。
- 「Yd」は、消費関数「C=C0+c1・Y」と投資(I0)を代入してあらわすと、「Yd=C0+c1・Y+I0」となります。
- この式の中で、「基礎消費」(C0)と「投資」(I0)は「Y」の値とは無関係に決まっているので、縦軸の部分に描きます(C0+I0)。
- 数学の「縦軸切片」の部分です。
限界消費性向と直線の傾き
- 次に、「c1・Y」を書き込みます。
- これは、所得として分配された「Y」のうち、「限界消費性向」(c1)の割合だけ消費されることをあらわしています。
- この「限界消費性向」(c1)はグラフの傾きをあわらします。
- 縦軸切片(C0+I0)から右上がりの直線を描くわけですが、ここで注意。
- 限界消費性向は「0<c1<1」の値をとると仮定しておりますので、直線の傾きは「1」より小さくなります。
よって、総需要(Yd)の「消費+投資(C+I0)」をあらわす直線は、45度線よりはゆるやかな傾きになります。
交点で均衡国民所得
- ここまでで2つの直線がでてきました。
- 「総供給(Ys)=総分配(Y)」をあらわす45度線と、「総分配(Y)→総需要(Yd)を表す直線です。
- この2つの直線は、1点で交わります。
この交点では、「総供給(Ys)=総分配(Y)=総需要(Yd)」となり、需要と供給が均衡する「均衡国民所得」(Y*)があらわされていることになります。
- グラフでは、交点から横軸にむけて点線を描いて、横軸に「Y*」と書き示すのが一般的です。
→ 次は「インフレ・ギャップとデフレ・ギャップ」です。45度線グラフを使って説明します。
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