ここまでは「完全競争」市場についてまなんできました。ここからは、「完全競争」市場の成立条件が成り立たないケースとして、「不完全競争」市場についてまなんでいきます。
- 「完全競争」市場における企業の利潤最大化条件は「価格(P)=限界費用(MC)」です。
- 「不完全競争」市場における企業の利潤最大化条件は「限界収入(MR)=限界費用(MC)」になります。
もくじ
- 独占 (利潤最大化条件の導出)
- 複占
- 寡占
- 独占的競争
中学の公民でまなぶ
経済劇場「5-1.独占の問題点 」(別サイト)。
(あらすじ)
独占企業の利潤最大化条件「限界収入(MR)=限界費用(MC)」
- 不完全競争市場の代表としては「独占」企業があります。
- 完全競争市場の場合、ある1企業がどのように行動したとしても、市場全体には何の影響も与えません。
- これに対して、独占企業の場合、この1企業の動きが市場全体の動きをきめることになります。
- よって、独占企業は、自分の企業の利潤が最大となるように「生産量」を決定します。
このときの条件が「限界収入(MR)=限界費用(MC)」です。そして、この生産量をもとに、市場全体の需要曲線上で、価格がきまることになります。
- (1)「独占」は、企業が1社のケースです。ここでまなぶ「独占企業の利潤最大化条件」の「限界収入=限界費用」(MR=MC)は他のテーマでも重要です(利潤最大化条件の導出方法)。
複占:2つの企業
はじめに「企業の数が1社」の「独占」のケースをまなび、少しずつ企業の数を増やして考察をすすめていきます。
- (2)「複占」は、企業が2社のケースです。2つの企業の間の力関係によって、いくつかのパターンに分けることができます。そのなかで、計算問題としては「クールノー均衡」がよく出されます。
寡占:少数の企業
- (3)「寡占」は、企業が数社のケースです。「寡占」にはいくつかの理論がありますが、ここでは代表的なものとして、「屈折需要曲線」をまなびます。
独占的競争:無数の企業、だけど財が差別化
- (4)「独占的競争」は、「不完全競争」市場と「完全競争」市場の両方の性質をもつテーマです。
- 企業の数は無数です。市場に参入するのも自由です。この点では「完全競争」市場と同様です。
- しかし、取り扱う財が「その企業ならではもの」つまり「差別化」されているため、自分たちの利潤が最大となるように生産量を決定することができます。この点では「不完全競争」市場と同様です。
- ここまでは、独占的競争市場の「短期」の分析です。
- 「長期」的には、「完全競争」市場と同様に、参入が自由なので、利潤を求めて他の企業が市場に参入していきます。これは「利潤がゼロ」になるまで続きます。
- このように、「独占的競争」は、ここまでの章のほとんどの内容と関係してきますので、総合的な理解力を問うためにたびたび出題されます。
もくじ
- 独占 (利潤最大化条件の導出)
- 複占
- 寡占
- 独占的競争