3-1.完全競争市場 < 3-2.市場均衡の安定性 > 3-3.余剰分析
(学習の目的)
均衡価格と均衡取引量に至る調整メカニズムをまなびます。
〔ミクロ3-2〕市場均衡の安定性
0:00 はじめに / 0:11 市場均衡 / 0:59 市場均衡の安定性 / 2:35 ワルラス調整過程(価格調整)/ 5:52 マーシャル調整過程(数量調整)/ 8:49 くもの巣調整過程 / 14:52 需要曲線と供給曲線の形 / 26:27 まとめ
市場均衡
- 「需要」と「供給」が等しくなることを「均衡」状態(市場均衡)といいます。
- 「需要」と「供給」が等しくなる「価格」を「均衡価格」といいます。
- また、このときの取引量を「均衡取引量」(均衡需給量)といいます。
- 「需要曲線」と「供給曲線」を描いた場合、この2つの曲線の「交点」で、「均衡価格」と「均衡取引量」が決まります。
- この点のことを「(市場)均衡点」といいます。
(E:市場均衡点、P*:均衡価格、Q*:均衡取引量)
市場均衡の安定性とは?
- 「需要」が「供給」を上回っている状態を「超過需要」といいます。
- これに対して、「供給」が「需要」を上回っている状態を「超過供給」といいます。
- これらの「均衡」でない状態を、「不均衡」といいます。
はじめから「均衡」状態であれば問題はありません。ただ、たとえ「不均衡」状態にあったとしても、「市場」には「均衡」に至る「調整」機能があります。
- これは、「消費者」と「生産者」の間で、「価格」や「取引量」を変化させることです。
- この「調整」機能がはたらいて、「均衡」状態が達成される場合、その「市場」は「安定的」とあらわされます。
- これに対して、「不均衡」のままであったり、「不均衡」がさらに拡大するような場合は、「不安定的」といいます
ワルラス調整過程
「需要」と「供給」の「不均衡」を調整する過程として、「価格調整」が行われる場合、これを「ワルラス調整過程」といいます。
- この調整過程はおもに、「非耐久財」にあてはまります。
- 「非耐久財」とは、「耐久しない」つまり長持ちしない財のことです。
- たとえば、スーパーマーケットなどで閉店間際になると、お惣菜の価格が半額になったりします。
- これが身近な「ワルラス調整過程」です。
マーシャル調整過程
「需要」と「供給」の「不均衡」を調整する過程として、「数量調整」が行われる場合、これを「マーシャル調整過程」といいます。
- この調整過程はおもに、「耐久財」にあてはまります。
- 「耐久財」とは、長持ちする財のことです。
- たとえば、自動車や住宅などです(もちろん、これらの財も長期的には古くなります。比較的長持ちする財のことをいいます)。
- 人気のある商品の場合、値上げなどの「価格調整」(ワルラス調整過程)がおこなわれる場合もありますが、大企業などは生産ラインを拡大して「増産」をおこないます。
- これが身近な「マーシャル調整過程」です。
くもの巣調整過程
「農産物」などは、「生産」と「消費」に「時点のズレ」があります。
- この場合、「均衡点」には一気には至らず、試行錯誤を繰り返します。
- この様子をグラフで描くと、「くもの巣」のような形になるので、「くもの巣調整過程」といいます。
需要曲線と供給曲線の形
- 一般的に、「需要曲線は右下がり」の形、「供給曲線は右上がり」の形であらわされます。
- この場合は、「価格調整」でも、「数量調整」でも「均衡点」に至ります。
- つまり、「ワルラス的に安定」であり、かつ、「マーシャル的に安定」になります。
「需要曲線」や「供給曲線」は、別の形もありえますので、それぞれの状態について「ワルラス的に安定」か、「マーシャル的に安定」かをみていくことになります。
→次は「余剰分析」です。社会全体からみた資源の効率的な配分のしかたについて分析します。
3-1.完全競争市場 < 3-2.市場均衡の安定性 > 3-3.余剰分析