3-1.完全競争市場

2-7.供給曲線 <  3-1.完全競争市場 > 3-2.市場均衡の安定性

(学習の目的)
「完全競争」市場の成立条件をまなびます。「独占」などの「不完全競争」市場は、この条件が成立していない状態です。


完全競争市場

  • 「完全競争」市場においては、「消費者」と「生産者」は、無数」に存在すると仮定します。
  • よって、ある個人の行動が市場全体に影響を与えることはありません
  • この場合、各個人は市場全体で決まった「価格」を受け入れる(take)しかありませんので、「消費者」と「生産者」は「プライス・テーカー」であると仮定されます。
  • 「価格を受け入れる」ことは、「価格が与えられる」ことと同じなので、別のいいかたでは、「価格を所与(given)とする」とも表現されます。

完全競争市場の成立条件

「完全競争」市場が成立する条件は、以下の4つになります。

  • 無数の取引主体」・・・消費者と生産者は無数に存在し、各個人は「価格」に対する支配力を持ちません。
  • 参入・退出が自由」・・・消費者や生産者として市場に「参入」するのも、市場から「退出」するのも自由です。
  • 財の同質性」・・・市場で売買される財に「差」は存在しないと仮定します。
  • 情報の完全性」・・・すべての消費者と生産者の間で、市場で売買される財に対する情報に「差」は存在しないと仮定します。

(考え方)

  • これらの条件は、現実的にはほぼ「ありえない」仮定ですが、この「ありえない」ことを考えるのが重要です。
  • いくつかの仮定を置くことによって、考え方や説明の筋道である「理論」は「単純化」することができます。
  • まず、最も単純な状態をみることから始めて、少しずつ仮定を外して複雑な説明をおこなっていきます。

仮定を外すとどうなるか?

「完全競争」の仮定を外すと、各個人の行動が「価格」に対する支配力を持つことになることになります。これは「独占」などの「不完全競争」市場にあたります。

(独占など→「5.不完全競争市場」)

  • ①「無数の取引主体」や②「参入・退出が自由」という仮定を外すと、少数の消費者か生産者しか存在しない状態になります。
  • ③「財の同質性」という仮定を外すと、市場で売買される財に「差」が存在することになります。
  • これは「財の差別化」がされている「独占的競争」市場にあたります。
  • 「独占的競争」は「不完全競争」市場ですが、①「無数の取引主体」が存在し、②「参入・退出」が自由である点は「完全競争」市場と同じです。

(情報の非対称性→「6-5.情報の非対称性」)

  • ④「情報の完全性」という仮定を外すと、「情報の非対称性」という問題を考察できます。
  • 財やサービスに対する情報は、現実的には「消費者」よりも「生産者」のほうが多く持つことが考えられます。これが「情報の非対称性」です。

→次は「市場均衡の安定性」です。均衡点のきまりかたをみていきます。

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