1-4.所得の変化 < 1-5.価格の変化 >1-6.需要曲線と需要の価格弾力性
(学習の目的)
「価格」が変化したら消費量はどうなるかを分析します。ここで学ぶ「代替効果と所得効果」はやや難しい内容ですが、非常に重要です。
価格-消費曲線
価格が変化すると、消費量も変化することが考えられます。
- この関係を「無差別曲線」と「予算制約線」を用いてあらわします。
- 価格の変化に応じて「最適消費点」が変化する場合、この最適消費点の「軌跡」を表したものを「価格-消費曲線」といいます。
価格の変化と所得の変化
- 価格の変化の分析は、所得の変化と比べると少々ややこしくなります。
- これは、価格の変化については、同時に所得の変化についても考える必要がでてくるからです。
- たとえば、今まで100円だった財が50円になった場合を考えてみましょう。
- 「100円→50円」は「価格の変化」です。所得がたとえば1000円だとします。
- 価格の変化によって、同じ1000円で買える財の量も変わります。この場合、「実質的に」所得が増えたことになります。
代替効果と所得効果
このように、「価格の変化」は、「価格そのものの変化」と「実質的な所得の変化」の2つに分けて分析をする必要が出てくるのです。
- 「価格そのものの変化」をみたものが「代替効果」です。
- そして、「実質的な所得の変化」をみたものが「所得効果」です。
代替効果
「財の価格比(相対価格)の変化」による消費量の変化を「代替効果」とよびます。
- 「相対価格」が変化すると、「同じ効用」を保つために消費量が変化します。
- この関係はグラフでは、「予算制約線の傾きが変化」することで表します。
- 横軸の財の価格が低下すると、予算制約線の傾きは「緩やか」になります。
- このとき、横軸の財の消費量は「増加」します。よって、代替効果は「+」になります。
所得効果
「実質所得の変化」による消費量の変化を「所得効果」とよびます。
- 「実質所得が変化」すると、「代替効果」で傾きが変化した「予算制約線が平行シフト」します。
- 財の価格が低下すると、予算制約線は「右上に平行シフト」します。
- ここで、財の種類が重要になります。
- 財が「上級財」である場合、「実質所得の増加」によって消費量は「増加」します。よって、所得効果は「+」になります。
- 財が「下級財」である場合、「実質所得の増加」によって消費量は「減少」します。よって、所得効果は「-」になります。
全部効果
「代替効果」と「所得効果」を合わせて、「全部効果」とよびます。
- 「横軸」の財の「価格が低下」するケースを考えます。
- このとき、「代替効果」は「+」になり、「実質所得は増加」します。
(上級財のケース)
- 財が「上級財」である場合、「所得効果」は「+」になるため、「全部効果」は「+」になります。
(中級財のケース)
- 財が「中級財」である場合、「所得効果」は「±ゼロ」です。「代替効果」の「+」分が「全部効果」の「+」になります。
(下級財のケース)
財が「下級財」である場合、「所得効果」は「-」になるため、「全部効果」は以下の3通りのパターンが考えられます。
- 絶対値で比較し、「代替効果(+)> 所得効果(-)」となる場合、「全部効果」は「+」になります。
- 絶対値で比較し、「代替効果(+)= 所得効果(-)」となる場合、「全部効果」は「±0」になります。
- 絶対値で比較し、「代替効果(+)< 所得効果(-)」となる場合、「全部効果」は「-」になります。このような財を「ギッフェン財」といいます。
ギッフェン財(一部の下級財)
一般的に「価格が低下すると消費量は増加」します。これは「需要の法則」とよばれます。
- 「ギッフェン財」は、この「需要の法則」があてはまらない財です。
- つまり、ギッフェン財とは、価格が低下したのに、消費量が減少してしまう財です。
- 所得の変化をみて分類した「下級財」の一部がこの「ギッフェン財」になります。
- よって「超下級財」ともよばれます。
これらの説明はかなりややこしいので、実際にグラフを描いて理解することをおすすめめします。→ 「代替効果と所得効果のグラフの確認へ」
→ 次は「需要曲線と需要の価格弾力性」です。これでようやく需要曲線が描けます。
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