(学習の目的)
フィリップス曲線をつかって、物価上昇率と失業率の間のトレード・オフ関係を分析します。
失業率
- AD-AS分析は、IS-LM分析を発展させて労働市場を分析する方法でした。
- 労働市場の分析については、このほかに、「フィリップス曲線」があります。
- この分析では、「失業率」がポイントとなります。
- 一般的に、景気の良いときは、失業率は低くなります。
- 人手不足の状態ですから、賃金は上昇します。
この「失業率」と「賃金」(正確には名目賃金上昇率)の関係をあらわしたものが「フィリップス曲線」です。
フィリップス曲線
「フィリップス曲線」では、「名目賃金上昇率」と「失業率」の間の「トレード・オフ関係」をあらわします。
- 「トレード・オフ関係」とは、「負の相関関係」ともいいます。
- これは、「名目賃金上昇率が高い」ときは、「失業率が低い」ことをあわらしております。
- グラフを描くときは、横軸が「失業率」、縦軸が「名目賃金上昇率」になります。
- この「名目賃金失業率」は、プラスの場合と、マイナスの場合と、ゼロの場合がありますので、これらが区別できるようにあらわしてください。
物価版フィリップス曲線
- 「名目賃金上昇率が高い」状態は、経済が過熱傾向にあるときです。
- この場合、物価の上昇率も高くなると考えられます。
このように「物価上昇率」と「失業率」の間の「トレード・オフ関係」をあらわしたものが「物価版フィリップス曲線」です。
- 「フィリップス曲線」を「物価版フィリップス曲線」に変換するには、やや難しいプロセスが必要ですので、ここでは保留としておきます。
自然失業率仮説
- 横軸に「失業率」、縦軸に「物価上昇率」を記して「(物価版)フィリップス曲線」を描くと、右下がりの形であらわされます。
- このフィリップス曲線は、人々の経済に対する「期待」(expectation:予想のことをあらわしますが、「期待」という訳語が一般的です)を受けて、シフトする場合があります。
- これらのフィリップス曲線は「短期」での分析です。
このフィリップス曲線の形について、古典派は「長期」的には「垂直」になると考えます。
- 古典派は、労働市場は伸縮的であると考えますので、「失業」は存在せず、「完全雇用」が達成されことになります。
- このように「完全雇用」が達成されているときの失業率を「自然失業率」といいます。
古典派は、長期的にはフィリップス曲線はこの「自然失業率」の水準で「垂直」の形となると考えます。
→ 5.経済成長理論
→ 5-1.ハロッド=ドーマー・モデル(ケインズ派)
→ 5-2.ソロー=スワン・モデル(新古典派)