5-1.ハロッド=ドーマー・モデル(ケインズ派)

(学習の目的)
最適な経済成長は達成しにくいと考えるのがケインズ的な「ハロッド=ドーマー・モデル」です。政府の役割が重要になります。

最適成長

  • 「最適成長」(均斉成長)の目安としては、国民所得の変化率である「経済成長率」をとりあげます。
  • そして、望ましい状態として、「財市場」と「労働市場」の双方が均衡している状態を想定します。
  • 「財市場」が均衡しているときの経済成長率を「保証成長率」(Gw:warranted rate of growth)とよびます。
  • 「労働市場」で「完全雇用」が達成されているときの経済成長率を「自然成長率」(Gn:natural rate of growth)とよびます。

「最適成長」とは、この「保証成長率」(Gw)と「自然成長率」(Gn)が一致している状態をさします。


ハロッド=ドーマー・モデル

ハロッド=ドーマー・モデルでは、結論として「保証成長率」(Gw)と「自然成長率」(Gn)が一致す「最適成長は実現しにくい」ことをあらわします。

  • この理由としては、このモデルでは、財の生産方法が硬直的であることを想定しているからです。

資本と労働の組合せ

  • ミクロ経済学では、財の生産要素が、資本、労働、土地の3つであることをまなびました。
  • このなかで、「資本」と「労働」を組み合わせて財を生産することを考えます(土地の条件については、モデルを単純にするために、考えないことにします)。
  • ある財の量を生産するために必要な「資本」と「労働」の量の組合せをしめしたものが、「生産関数」とそのグラフになります。
  • ミクロ経済学では「ある財の生産量」を考えましたが、これを「すべての財の生産量」つまり「国民所得」(Y)として考えるのがマクロ経済学です。

この「生産関数」の考え方が、「ハロッド=ドーマー・モデル」と「新古典派モデル」では異なります。

資本係数とは?

  • 「国民所得」(Y)は、「資本」(K)と「労働」(L)によって生産されます。
  • 「国民所得」対する「資本」や「労働」の比率を示すことによって、その経済の生産のしくみをあらわすことができます。
  • 「資本」(K)と「国民所得」(Y)の比率は、「資本係数」(v)であらわします。

「資本係数」(v)とは、生産量1単位を生産するのに必要な「資本」を示します。式であらわすと次の形になります。

v=K/Y

  • 「労働」(L)と「国民所得」(Y)の比率は、「労働者1人当たりの国民所得」(y)であらわします。

「労働者1人当たりの国民所得」(y)は、式であらわすと次の形になります。

y=Y/L

固定的な資本係数

「ハロッド=ドーマー・モデル」では、「資本係数」(ⅴ)は「固定的」であると考えます。

  • 生産関数をえがくと、「L」字方の「レオンチェフ型」になります(ミクロ経済学の第2章を参照)。

貯蓄率を考える

  • 「財市場」が均衡するとき、「投資」(I)と「貯蓄」(S)が等しくなります。
  • これは、「だれかの貯蓄が投資にまわって生産がおこなわれる」と考えてください。
  • つまり、経済全体の生産量つまり国民所得は、「貯蓄」の状態に影響を受けるということです。
  • 貯蓄の状態をあらわす指標として「貯蓄率」(s)があります。

保証成長率

  • 「財市場」が均衡しているときの経済成長率を「保証成長率」(Gw:warranted rate of growth)といいます。

この「保証成長率」(Gw)が達成する条件は、「貯蓄率」(s)と「資本係数」(ⅴ)で表すと次の形になります。

Gw = s/v

次に、こうなる理由について式を用いて説明しておきますが、ややプロセスが複雑です。まずは、生産に必要な資金を「貯蓄」して、それを「資本」としてつかうという関係をイメージとしてとらえておいてください。

→ ハロッド=ドーマー・モデルを式で理解する
→ ソロー=スワン・モデル(新古典派)