前節<(学習の目的)
市場では「かならずしもそうはならない」場合があります。この「不確実性」を分析します。
不確実性
将来の結果を事前に予測できないことを「不確実性」といいます。この「不確実性」は、「リスク」(危険)のことだと考えてください。
期待効用
資産運用などにおいて、投資をおこなう人は、確実に得られる「効用」と、「不確実性」のある「期待効用」を比較して意思決定をすると考えられます。
- 経済学で用いる「期待」(expect)という用語は「予測」の意味で使われることが多いので、この「期待効用」は「効用の予測」として理解してください。
- 「期待効用」は、「効用」の「期待値」を合計したものです。
期待効用の求め方
- あることをおこなって、得られる「効用」が2種類あるとします。
- 仮にこれを、「効用A」(Ua)と「効用B」(Ub)とします。
- そして、「効用A」が得られる確率を「Pa」、「効用B」が得られる確率を「Pb」とします。
- この場合、「期待効用」(EU)は、次の形であらわされます。
EU = Ua・Pa + Ub・Pb
リスクに対する態度
投資にあたっては、人々は次の2つを比較して、投資を行うかどうかをきめます。
- 投資によって得られる「期待効用」。
- 投資せずにその資金を保持し続けることによって得られる確実な「効用」。
このときの態度は、人によってことなります。
①「危険回避的」・・・「期待効用 < 確実な効用」で行動する場合です。
②「危険中立的」・・・「期待効用 = 確実な効用」で行動する場合です。
③「危険愛好的」・・・「期待効用 > 確実な効用」で行動する場合です。
- 「①危険回避的」な人は、リスクをおかしてまで投資をおこなわないことがあります。
- この場合、社会全体で生産がそれほど伸びず、供給が不足してしまうことがありえます。
- これも「市場の失敗」につながります。
リスク・プレミアム
将来の所得が不確実な状況において、確実な所得を得るために支払ってもよいと考える「保険料」や「手数料」などの金額の上限を「リスク・プレミアム」といいます。
①「危険回避的」な場合、「リスク・プレミアム」は「+」になります。
②「危険中立的」な場合、「リスク・プレミアム」は「±0」です。
③「危険愛好的」な場合、「リスク・プレミアム」は「-」になります。