(学習の目的)
完全競争市場と不完全競争市場の双方の性質をもっているのが独占的競争です。論述で出題されやすいテーマです。
独占的競争
- 「独占的競争」において、企業は「多数」存在します。
- また「長期」的には市場に自由に「参入」できます。
- この点では「完全競争」市場と同じです。
- しかし、「財の同質性」は成立していません。
- 各企業の商品は「差別化」されているため、自社の商品に対してある程度の「価格支配力」を持ちます。
- この点では「独占」企業と同じです。
- この「独占的競争」状態は、現実の経済をあらわしているといえます。
「独占的競争」の説明は、「短期」と「長期」に分けておこないます。
短期均衡
ここでいう「短期」とは「新規参入」がまだない状態です。
- たとえば、ある企業が、新しい大ヒット商品を生み出した状態をイメージしてください。
- この場合、この商品は他の企業の類似した商品とは「違う」わけです。これが「差別化」です。
- このような「短期」的な状態では、「独占」企業と同様に「価格支配力」をもつことができます。
- よって「独占的競争」の利潤最大化条件は「限界収入=限界費用」(MR=MC)となります。
「差別化」された商品を生産している企業は、「短期」的には「独占」的な利潤をえることができます。
長期均衡
しかし、「長期」的にみると、このような「利潤」を求めて、他の企業が「新規参入」してきます。
- 「新規参入」が続くにつれて、はじめの企業がもっていた商品の魅力は失われていきます。
- いずれは、他の企業が生産している商品と「同質」になっていくでしょう。
- 最終的に、この「新規参入」は、「利潤がゼロ」になるまで続くことになります。
- つまり、「価格=平均費用」となる状態になるまで「新規参入」が続いていくということです。
(ぜひグラフで確認しておいてください。)
「5.不完全競争市場」はここまでです。
→ 次の章「6.市場の失敗」では独占などについてまなびます。
→ はじめの節「6-1.外部性」
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