1-3.予算制約線 < 1-4.所得の変化 > 1-5.価格の変化
(学習の目的)
「予算」が変化したら消費量はどうなるかを分析します。ここでまなぶ「弾力性」という考え方はとても重要です。
所得-消費曲線
所得(予算)が変化すると、消費量も変化することが考えられます。
- この関係を「無差別曲線」と「予算制約線」を用いてあらわします。
- 所得の変化に応じて「最適消費点」が変化する場合、この最適消費点の「軌跡」を表したものを「所得-消費曲線」といいます。
- 一般的に、所得が増えれば、消費量も増えると考えられます。この場合、「所得-消費曲線」は「右上がり」の形でえがかれます。
財の分類:上級財と下級財
ただし、財によっては、所得が増えても消費量が変化しないものや、逆に消費量が減ってしまうものも考えられます。
- 所得が増加したとき、消費量が「増加」する場合、このような財を「上級財(正常財)」といいます。
- 所得が変化しても、消費量が「変化しない」場合、このような財を「中級財(中立財)」といいます。
- 所得が増加したとき、消費量が「減少」する場合、このような財を「下級財(劣等財)」といいます。
「弾力性」という考え方
「あるものの変化」に対して、「別のものがどれだけ変化」したかは、数値で求めることができます。これを「弾力性」といいます。
- たとえば、ボールを床に落としたら、「どれだけ跳ね返るか」をイメージしてみてください。
- 「A→B」という関係がある場合、この「弾力性」は、「Bの、A弾力性」という形で表現されます。
- 「所得の変化→消費量(需要量)の変化」の場合、「需要の所得弾力性」と表現されます。
- 「価格の変化→消費量(需要量)の変化」の場合は「需要の価格弾力性」と表現されます。
需要の所得弾力性
「需要の所得弾力性」とは、「所得が1%増加したとき、消費量が何%変化するか」を示します。式であらわすと次の形になります(X:消費量、M:所得)。
- 「変化量と変化量」ではなく、「変化率と変化率」で求めるのがポイントです。
需要の所得弾力性と財の分類
財の種類のよって「需要の所得弾力性」は異なります。
- 「上級財」の場合、「需要の所得弾力性は0より大きい」値になります。所得が増えれば(+)、消費量も増える(+)ことから、弾力性も(+)になります。
- 「中級財」の場合、「需要の所得弾力性は0」になります。所得が増え(+)ても、消費量は変化しません(±0)。よって、弾力性も(±0)になります。
- 「下級財」の場合、「需要の所得弾力性は0より小さい」値になります。所得が増えたら(+)、消費量が減ってしまう(-)ことから、弾力性は(-)になります。
財の分類:奢侈品と必需品
「上級財」、「中級財」、「下級財」の他に、財は「奢侈品」と「必需品」に分類することもできます。
- 「奢侈品」(ぜいたく品)とは、所得の変化率に対して、消費量の変化率が上回っているような財です。感覚的には、「給料、そんなに増えてないのに、それ買っちゃうの?」というような財のことです。
- 「奢侈品」の場合、「需要の所得弾力性は1より大きい」値になります。
- 「必需品」とは、所得の変化率に対して、消費量の変化率が下回っているような財です。感覚的には、トイレットペーパーをイメージしてください。給料が10倍になったとしても、さすがに10倍は使わないと思います。
- 「必需品」の場合、「需要の所得弾力性は1より小さい」値になります。
エンゲル曲線
「所得」の変化と「最適消費量」の変化を示した曲線を「エンゲル曲線」といいます。
- 横軸が「消費量」、縦軸が「所得」の形であらわされます。
- 「上級財」の場合、所得が増えると消費も増えるので、「エンゲル曲線は右上がり」の形になります。
- 「中級財」の場合、所得が増えても消費は変化しないので、「エンゲル曲線は水平」の形になります。
- 「下級財」の場合、所得が増えると消費が減るので、「エンゲル曲線は右下がり」の形になります。
→ 次は「価格の変化」です。価格が変化すると、実質的に所得の変化につながることがポイントです。