(講義のねらい)
「IS-LM分析」では、ここまで別々にみてきた「財市場」と「貨幣-債券市場」を、国民所得(Y)と利子率(r)でむすびつけて分析していきます。
今回は、「IS-LM分析とは何か?」について基礎的な内容をみていきます。
「IS曲線」では、「財市場」を均衡させる「国民所得」と「利子率」の関係をみます。一般的にグラフの形は右下がりになります。
「LM曲線」では、「貨幣市場」を均衡させる「国民所得」と「利子率」の関係をみます。一般的にグラフの形は右上がりです。
この2つをくみあわせておこなうのが「IS-LM分析」です。財政政策や金融政策の効果をみることができます。
無料動画(合計 51分)
- IS-LM分析の全体像 [18:54]
- IS曲線とは? [09:53]
- LM曲線とは? [09:55]
- IS-LM曲線の計算問題 [12:34]
有料動画(合計 56分〔無料サンプルは含まず〕)
(基礎講座の解説動画)
- 3-0.IS-LM分析のもくじ [04:53] (無料サンプル)
- 3-1. IS-LM分析でまなぶこと [06:47](100円)
- 3-2. IS曲線 [18:25](300円)
- 3-3. LM曲線 [20:58](400円)
- 3-4. IS-LM分析 [09:58](200円)
(無料動画)
YouTubeで公開している動画を軸に説明を組み立てていきます。
3-1.IS-LM分析の全体像 →I・S・L・Mが何を意味するか?なぜ、国民所得と利子率に注目するのか?
3-2.IS曲線 → 財市場が均衡する国民所得と利子率の組み合わせ。
3-3.LM曲線 → 貨幣市場が均衡する国民所得と利子率の組み合わせ。
3-4.IS-LM分析 → 2つの曲線をむすびつけて、何が説明できるか?
3-1.IS-LM分析の全体像
「IS-LM分析」では、ここまで別々にみてきた「財市場」と「貨幣-債券市場」を、国民所得(Y)と利子率(r)でむすびつけて分析していきます。
- 「IS-LM分析」のうち、「I」は「投資(Investment)」、「S」は「貯蓄(Saving)」、「L」は「Liquidity(貨幣需要)」、「M」は「Money Supply(貨幣供給)を意味します。
- 「財政政策」や「金融政策」などの経済政策の効果をみることができるので、公務員試験などではこのIS-LM分析はよく出題されます。
(動画)IS-LM分析の全体像 [18:54]
IS-LM分析の基礎を学ぶ前に、そもそもIS-LM分析で何を学ぶのかを見ていきましょう。
(timeline)
0:10 マクロ経済学の全体像
3:48 I・S・L・Mが意味するもの
8:48 国民所得と利子率
13:43 定義とグラフの形
17:15 まとめ
17:54 今回の復習
「IS」と「LM」は何を指す?
- 「IS曲線」は「財市場」をあらわします。
- この「IS」は、「投資」(I:investment)と「貯蓄」(S:saving)をあらわしています。
- 「LM曲線」は「貨幣市場」をあらわします。
- この「LM」は、「貨幣需要」(L:Liquidity)と「貨幣供給」(M:Money supply)をあらわしています。
国民所得と利子率
IS曲線とLM曲線は、それぞれの市場が均衡する「国民所得」と「利子率」のくみあわせを示しております。
- 「国民所得」は「財市場」で決まる値ですが、「貨幣市場」にも影響を与えます。
- また、「利子率」は「貨幣市場」で決まる値ですが、「財市場」にも影響を与えます。
よって、「国民所得」と「利子率」をとりあげることによって、「財市場」と「貨幣市場」の両方の分析ができることになります。
政策の効果をみる
- マクロ経済学では、経済政策のあり方について考えます。
- 経済政策には公共事業や減税などの「財政政策」と、マネー・サプライを変化させる「金融政策」があります。
- これらは、目標とする「国民所得」の水準を達成するためにおこなわれます。
- このような政策の効果をみるために、「IS-LM分析」は用いられます。
- 「IS曲線」と「LM曲線」が交わる点は、「財市場」と「貨幣市場」が同時に均衡する「国民所得」と「利子率」の組合せをしめしております。
「財政政策」をおこなうと「IS曲線」がシフトします。
「金融政策」をおこなうと「LM曲線」がシフトします。
- 曲線がシフトしたことによって、新たな均衡点があらわされます。
シフト前の均衡点とシフト後の均衡点を比較することによって、経済政策に効果があったかどうかを説明します。
では、それぞれの曲線についてみていきましょう。はじめは財市場の均衡をあらわす「IS曲線」から。
3-2.IS曲線
(学習の目的)
IS曲線が右下がりになる理由をまなびます。
(動画)IS曲線とは? [09:53]
IS曲線とは?その定義と導出方法、グラフのシフト理由についてまなびます。
(timeline)
0:00 IS-LM分析の仮定 (物価一定、海外部門なし)
1:37 IS曲線とは
2:59 IS曲線の仮定と投資関数の形 ←重要な1つの仮定
5:39 IS曲線の導出(右下がりとなる理由)
7:15 IS曲線のシフト
IS曲線
「IS曲線」は、「財市場」を均衡させる「国民所得」と「利子率」の組合せをあらわします。
- 「I」は「投資」で、「S」は「貯蓄」です。
- 生み出した付加価値が手元に分配されますが、そのなかで「消費」せずに「貯蓄」しておいたものが「投資」にまわると考えてください。
- 「投資」や「貯蓄」は、「利子率」の影響を受けます。
- また「投資」によって「国民所得」が決定されます。
「国民所得」と「利子率」を用いることによって、「投資」と「貯蓄」をふくめた「財市場」を説明するのが「IS曲線」だと思ってください。
IS曲線の形状
一般的に「IS曲線」の形状は「右下がり」です。
- 「水平」の場合もあります。
- 「垂直」の場合もあります。
- これらは応用編でまなびます。
IS曲線の導出
- 「投資」は「利子率の減少関数」と仮定します。
- これは、利子率が低いほど、投資に必要な資金が借りやすくなるからです。
- 「利子率が低下」すると、「投資が増加」します。
- これは「総需要が増加」したことになるため、「均衡国民所得が増加」します。
「利子率が低下」したことによって「国民所得が増加」することになるので、「IS曲線は右下がり」になります。
つづいて、貨幣市場の均衡をあらわす「LM曲線」をみていきましょう。
3-3.LM曲線
(学習の目的)
LM曲線が右上がりになる理由をまなびます。
(動画)LM曲線とは? [09:55]
LM曲線とは?その定義と導出方法、グラフのシフト理由についてまなびます。
[timeline]
0:00 LM曲線とは
0:40 LM曲線の仮定と貨幣需要の関数の形 ←重要な2つの仮定
3:52 LM曲線の導出(右上がりとなる理由)
5:16 債券市場を考える
7:14 LM曲線のシフト
8:55 次に何を学ぶか?
LM曲線
「LM曲線」は、「貨幣市場」を均衡させる「国民所得」と「利子率」の組合せをあらわします。
- 「L」は「貨幣需要」で、「M」は「貨幣供給」です。
- 貨幣需要と貨幣供給が一致したところで、貨幣の需給量と貨幣の価格が決まります。
- 「貨幣の価格」とは、「利子率」です。
- この「利子率」は「国民所得」にも影響を与えます(ただしこれはケインズ派の場合です)。
「国民所得」と「利子率」を用いることによって「貨幣需要」と「貨幣供給」で決まる「貨幣市場」を説明するのが「LM曲線」だと思ってください。
LM曲線の形状
一般的に「LM曲線」の形状は「右上がり」です。
- 「水平」の場合もあります。
- 「垂直」の場合もあります。
- これらは応用編でまなびます。
とくにここは、「ケインズ派」と「古典派」の考え方が異なるところですので、重点的にまなぶことになります。
LM曲線の導出
- 貨幣の「取引需要」と「予備的需要」は「国民所得の増加関数」と仮定します。
- 貨幣の「投機的需要」は「利子率の減少関数」と仮定します。
- 「国民所得が増加」すると、貨幣の「取引需要や予備的需要が増加」します。
- すると、需要が供給を上回るために、「貨幣市場は超過需要」になります。
- このとき反対に、「債券市場は超過供給」になります。
- これは債券に対する需要が少ないこと、つまり債券の人気が下がったことをあらわすので、「債券価格は下落」します。
- 「債券価格は利子率の減少関数」であると仮定すると、「利子率は上昇」します。
「国民所得が増加」したことによって、「利子率が上昇」することとなるので、「LM曲線は右上がり」になります。
IS曲線とLM曲線をくみあわせて「IS-LM分析」をおこないます。
3-4.IS-LM分析
(学習の目的)
IS-LM分析では、財政政策や金融政策の効果を分析することができます。
IS曲線とLM曲線の交点
「IS曲線」と「LM曲線」の交点では、「財市場」と「貨幣市場」が同時に均衡する「国民所得」と「利子率」の組合せが示されています。
IS-LM分析の利用目的
「財政政策」や「金融政策」によって、「IS曲線」や「LM曲線」はシフトしますので、IS-LM分析によってこれらの政策の効果を分析することができます。
IS曲線のシフト
「財政政策」は「政府支出」や「租税」を変化させる政策です。
- 一般的に、不景気のときは景気を刺激するために、「政府支出」を増やしたり、「租税」を減らしたりする「減税」がおこなわれます。
- これは「拡張的財政政策」といい、「IS曲線を右シフト」させます。
- 景気が過熱したときには、「政府支出」を減らしたり、「租税」を増やしたりする「増税」がおこなわれます。
- これは「縮小的財政政策」といい、「IS曲線を左シフト」させます。
LM曲線のシフト
「金融政策」は、「マネー・サプライ」を変化させる政策です。
- 一般的に、不景気のときは景気を刺激するために、「マネー・サプライ」を増やします。
- これは「拡張的金融政策」(金融緩和政策)といい、「LM曲線を右シフト」させます。
- 景気が過熱したときには、「マネー・サプライ」を減らします。
- これは「縮小的金融政策」といい、「LM曲線を左シフト」させます。
例題1.(計算問題)
(動画)IS-LM曲線の計算問題 [12:34]
例題2.(論述問題)
「IS-LM分析について説明せよ。」→ 論述試験の対策「IS-LM分析」
ここまでは無料の動画です。
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(有料動画)
マクロ経済学基礎講座『IS-LM分析』の解説動画
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3-0.IS-LM分析のもくじ [04:53] (無料サンプル)
3-1. IS-LM分析でまなぶこと [06:47](100円)
3-2. IS曲線 [18:25](300円)
3-3. LM曲線 [20:58](400円)
3-4. IS-LM分析 [09:58](200円)
(IS-LM分析解説動画セット)
2,100円 → 1,600円(-24%)
※購入特典:講義資料(解答編と設問編) 【A4:30ページ・PDFファイル】
(全て見放題は、月4,000円です。)
3-0.IS-LM分析のもくじ [04:53] (無料サンプル)
3-1. IS-LM分析でまなぶこと [06:47](100円)
3-2. IS曲線 [18:25](300円)
3-3. LM曲線 [20:58](400円)
3-4. IS-LM分析 [09:58](200円)
—-(次回の内容)—-
3-5. クラウディング・アウト [19:58](400円)
3-6. 流動性のわな [12:48](300円)
3-7. さまざまなケース [13:25](300円)
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