6-4.不確実性

前節<(学習の目的)
市場では「かならずしもそうはならない」場合があります。この「不確実性」を分析します。


不確実性

将来の結果を事前に予測できないことを「不確実性」といいます。この「不確実性」は、「リスク」(危険)のことだと考えてください。


期待効用

資産運用などにおいて、投資をおこなう人は、確実に得られる「効用」と、「不確実性」のある「期待効用を比較して意思決定をすると考えられます。

  • 経済学で用いる「期待」(expect)という用語は「予測」の意味で使われることが多いので、この「期待効用」は「効用の予測」として理解してください。
  • 「期待効用」は、「効用」の「期待値」を合計したものです。

期待効用の求め方

  • あることをおこなって、得られる「効用」が2種類あるとします。
  • 仮にこれを、「効用A」(Ua)と「効用B」(Ub)とします。
  • そして、「効用A」が得られる確率を「Pa」、「効用B」が得られる確率を「Pb」とします。
  • この場合、「期待効用」(EU)は、次の形であらわされます。

EU = Ua・Pa + Ub・Pb


リスクに対する態度

投資にあたっては、人々は次の2つを比較して、投資を行うかどうかをきめます。

  • 投資によって得られる「期待効用」。
  • 投資せずにその資金を保持し続けることによって得られる確実な「効用」。

このときの態度は、人によってことなります。

①「危険回避」・・・「期待効用  確実な効用」で行動する場合です。
②「危険中立」・・・「期待効用  確実な効用」で行動する場合です。
③「危険愛好」・・・「期待効用  確実な効用」で行動する場合です。

  • 「①危険回避的」な人は、リスクをおかしてまで投資をおこなわないことがあります。
  • この場合、社会全体で生産がそれほど伸びず、供給が不足してしまうことがありえます。
  • これも「市場の失敗」につながります。

リスク・プレミアム

将来の所得が不確実な状況において、確実な所得を得るために支払ってもよいと考える「保険料」や「手数料」などの金額の上限を「リスク・プレミアム」といいます。

①「危険回避的」な場合、「リスク・プレミアム」は「」になります。
②「危険中立的」な場合、「リスク・プレミアム」は「±0」です。
③「危険愛好的」な場合、「リスク・プレミアム」は「」になります。


→次は「情報の非対称性」です。情報格差がおこす問題を考察します。
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