(学習の目的)
グローバル経済を想定して、「資本移動が完全」なケースを分析します。
はじめに「固定相場制度」のケースを分析します。
「資本移動が完全」なケースでは、「固定相場制」では、「財政政策は有効」で「金融政策は無効」になります。
資本移動が完全なケース
- 資本移動の自由度についてはさまざまなケースがありますが、経済のグローバル化が進んでいる現代では、「資本移動が完全」なケースからみていくことが一般的です。
- この場合、為替相場のシステムが、「固定相場制度」か「変動相場制度」かによって、説明が異なります。
結論をまとめると、「資本移動が完全」なケースでは、
- 「固定相場制度」では、「財政政策は有効」で「金融政策は無効」になります。
- 「変動相場制度」では、「財政政策は無効」で「金融政策は有効」になります。
まずは、「固定相場制度」のケースをみていきましょう。
「資本移動が完全」なケースでは、「固定相場制度」では、「財政政策は有効」で「金融政策は無効」になります。
1-1.資本移動が完全(固定相場制度)で財政政策
財政政策は有効○
「資本移動が完全で固定相場制度」のとき、「(拡張的)財政政策は有効」となります
- 「(拡張的)財政政策」をおこなうと「IS曲線が右シフト」します。すると、「利子率は上昇」します。
- 「資本移動が完全」ですので、この高い利子率を求めて、外国から「資本が流入」します。
- 自国内で取引をおこなうために、通貨が必要になりますので、自国通貨への需要が増えて、「超過需要」になります。
- 為替システムは、「固定相場制度」なので「為替レートを維持」する必要があります。
- 通貨当局は「外国通貨を購入」します。
- これによって、自国通貨の流通量が国内で「増加」します。
- すると、「マネー・サプライが増加」します。
- 「マネー・サプライが増加」すると、「LM曲線は右シフト」します。
- 新しい均衡点では、「国民所得は増加」することになります。
よって、「資本移動が完全」で「固定相場制度」のとき、「(拡張的)財政政策は有効」となります。
1-2.資本移動が完全(固定相場制度)で金融政策
金融政策は無効×
「資本移動が完全で固定相場制度」のとき、「(拡張的)金融政策は無効」となります。
- 「(拡張的)金融政策」をおこなうと、「LM曲線が右シフト」し、「利子率は下落」します。
- 「資本移動が完全」ですので、相対的に高くなった海外の利子率を求めて、自国から「資本が流出」します。
- 自国通貨への需要は減って、「超過供給」になります。
- 為替システムは、「固定相場制度」なので「為替レートを維持」する必要があります。
- 通貨当局は「外国通貨を売却」します。
- これによって、自国通貨の流通量が国内で「減少」します。
- すると、「マネー・サプライが減少」します。
- 「マネー・サプライが減少」すると、「LM曲線は左シフト」します。
- はじめに「右シフト」した「LM曲線」が「左シフト」して元に戻ってしまいますので、「国民所得は変化しない」ことになります。
よって、「資本移動が完全」で「固定相場制度」のとき、「(拡張的)金融政策は無効」となります。
以上をまとめると、「資本移動が完全」なケースではこうなります。
- 「固定相場制度」では「財政政策は有効」
- 「固定相場制度」では「金融政策は無効」