4-1.AD曲線

(学習の目的)
IS-LM分析にさらに「労働市場」の分析を加えたのがAD-AS分析です。AD-AS分析では、物価水準と国民所得の関係を分析します。

IS-LM分析の仮定

  • IS-LM分析では、「物価は一定」と仮定して分析をおこないました。

この仮定を変えて、物価が変化したら国民所得の水準はどうなるのかをみていきます。

  • 物価の変化は、マネー・サプライに影響を与えます。
  • これは金融政策と同じようにLM曲線をシフトさせます。
  • これによって、新たな均衡点で国民所得が決まります。
  • この関係をあらわしたものが「AD曲線」です。

AD曲線(総需要曲線)

「AD曲線」(総需要曲線)は、「財市場」と「貨幣市場」を同時に均衡させる「物価」と「国民所得」の組合せをあらわします。

AD曲線の形状

一般的にAD曲線は「右下がり」の形になります。

  • まずIS-LM曲線を想定します。
  • 物価が下落した場合、同じ貨幣でより多くのものが購入できるようになります。
  • これは「実質マネー・サプライが増加」したことになります。
  • よって、「LM曲線が右(下)方シフト」します。
  • これは「拡張的な金融政策」と同じです。
  • シフト後の均衡点では、「利子率は低下」し、「国民所得は増加」します。

「物価が下落→国民所得が増加」となるので、「AD曲線は右下がり」の形になります。

財政政策

  • 拡張的な財政政策をおこなった場合、「IS曲線が右(上)方シフト」します。
  • このとき、同じ物価水準のもとでは、「国民所得が増加」することになるので、「AD曲線は右(上)方シフト」することになります。

金融政策

  • 拡張的な金融政策をおこなった場合、「LM曲線が右(下)方シフト」します。
  • このとき、同じ物価水準のもとでは、「国民所得が増加」することになるので、「AD曲線は右(上)方シフト」することになります。

→ AS曲線