(学習の目的)
「流動性のわな」が発生している場合の財政政策と金融政策の効果を分析します。
IS曲線とLM曲線の形
- 一般的に「IS曲線は右下がり」で、「LM曲線は右上がり」の形であらわされます。
- この基本をマスターした後で、他のケースをみていきます。
- それは、それぞれの曲線が「垂直」や「水平」の形の場合です。
ここでは「LM曲線が水平」となる「流動性のわな」が発生しているケースをみていきます。
流動性のわな
「流動性のわな」とは、利子率がたとえばゼロ・パーセントのような「きわめて低い」水準にある状態です。
- 極端に言えば、いくらでもお金が借りられるような状態のことです。
- この場合、貨幣の「投機的需要」は、利子率に対して「無限大」(いくらでも借りようとする)となります。
- この状態については、正確には貨幣需要曲線と貨幣供給曲線を用いて説明します(ここでは保留します)。
基本レベルでは、「流動性のわな」が発生しているとき、「LM曲線は水平」の形になると覚えておいてください。
金融政策
- 金融政策とは、マネー・サプライを変化させる政策です。
- 不景気のときは、世の中にお金が出回りやすくするように、利子率が下がるような政策をします。
金融政策をおこなうとき、もし、利子率がきわめて低い「流動性のわな」が発生している状態では、「金融政策は無効」となります。
- なぜならば、「LM曲線が水平」な場合は、拡張的な金融政策をおこなって「LM曲線を右シフト」させたとしても、均衡点は変化しないからです。
財政政策
これに対して、「財政政策は有効」となります。
- なぜならば、「流動性のわな」が発生していて「LM曲線が水平」な場合であっても、拡張的な財政政策をおこなって「IS曲線を右シフト」させれば、国民所得を増加させることができるからです。