第03回 (1)消費者理論③…需要曲線/さまざまな無差別曲線/労働供給の決定

(講義のねらい)
ここまでの分析のやり方で、「価格」と「消費量(需要量)」の関係を結びつけることができるようになりました。今回はいよいよ、需要曲線を描きます。需要曲線の形は、一般的には右下がりですが、それ以外の形もあります。これを説明するためには、「需要の価格弾力性」という考え方をつかいます。

さらに、さまざまな無差別曲線の形についてふれます。また、消費者理論の応用編として、無差別曲線の枠組みを用いて「労働供給量」の決定について説明していきます。

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(ミクロ経済学書き込みノートの解説動画)


(無料動画)

YouTubeで公開している動画を軸に説明を組み立てていきます。

(内容)
1-6.需要曲線と需要の価格弾力性 →「満足感」について考察
1-7.さまざまな無差別曲線 → 2つの財の消費量と満足感について
1-8.労働供給の決定 → 予算でどれだけ買うことができるか?

 


需要曲線の形を説明するために、「需要の価格弾力性」という考え方をまなびます。

1-6.需要曲線と需要の価格弾力性

(学習の目的)
需要曲線の形と需要の価格弾力性の関係をまなびます。需要の所得弾力性にくらべると、計算問題で出題されやすいテーマです。


価格が変化すると、それに応じて最適消費量が決定されます。これらの価格と消費量(需要量)のくみあわせをあらわしたものが需要曲線です。


需要曲線

  • 「需要曲線」は一般的に「右下がり」の形になります。これに対して、「ギッフェン財」の需要曲線は「右上がり」の形になります。

  • 「代替効果」のみを考慮した需要曲線を「ヒックス型需要曲線」とよびます。この需要曲線は必ず「右下がり」の形になります。
  • 「代替効果」と「所得効果」の両方を考慮した需要曲線を「マーシャル型需要曲線」とよびます。

需要曲線の形を説明するために、「需要の価格弾力性」という考え方をまなびます。

需要の価格弾力性

(動画)「需要の価格弾力性」[06:47]

需要の価格弾力性」とは、「価格が1%上昇したとき、消費量が何%変化するか」を示します。式であらわすと次の形になります(X:財の消費量、P:価格)。

※ 需要の価格弾力性はマイナスをかけて求めるのが一般的です。


「需要の価格弾力性」は、ある財について、価格と消費量の関係をみたものです。

この考え方を発展させて、ある財の価格の変化が、別の財の消費量に影響を与えるケースをみることもできます。ある財の価格が上昇したときに、消費量が増える別の財が「代替財」で、減るものが「補完財」です。

財の分類:代替財と補完財

ある財の価格の変化は、他の財の消費量の変化に影響を与えることがあります。影響は2通りに考えられます。

代替財

  • ある財の「価格が上昇」した場合、一般的にその財の「消費量は減少」します。
  • この財の「代わりに」、別の財の「消費量が増加」する場合、この別の財のことを「代替財」(正確には「代替財」)といいます。
  • たとえば、「コーヒーと紅茶」の関係がこれにあたります。

補完財

  • ある財の「価格が上昇」した場合、一般的にその財の「消費量は減少」します。
  • この財と同じように、別の財の「消費量が減少」する場合、この別の財のことを「補完財」(正確には「補完財」)といいます。
  • たとえば、「コーヒーと砂糖」の関係がこれにあたります。

需要の交差価格弾力性

  • 「ある財の価格の変化」と「他の財の消費量の変化」は、「需要の交差価格弾力性」という形であらわされます。

「需要の交差価格弾力性」とは、「ある財の価格が1%上昇したとき、他の財の消費量が何%変化」するかを示します。

  • 代替財」は、「需要の交差価格弾力性」が「」になります。
  • 「代替財」の場合、ある財の「価格が上昇」した場合、別の財の「消費量が増加」します。
  • よって、「需要の交差価格弾力性」は「」になります。
  • 補完財」は、「需要の交差価格弾力性」が「」になります。
  • 「補完財」の場合、ある財の「価格が上昇」した場合、別の財の「消費量が減少」します。
  • よって、「需要の交差価格弾力性」は「」になります。

消費者理論の基礎の基礎については以上です。

ここから先は、応用編です。まずは、無差別曲線の他のケースについてみていきましょう。

1-7.さまざまな無差別曲線

(学習の目的)
原点に対して凸型以外の形の無差別曲線をまなびます。

(動画)かんたんミクロ経済学(5)「さまざまな無差別曲線」 [11:05]

完全補完関係

  • 完全補完」関係のケースでは、無差別曲線は「L字型」の形になります。
  • このような効用曲線は「レオンチェフ型効用関数」といいます。
  • このような関係にある例としては、「ボルトナット」や「左右の手袋」などがあります。

完全代替関係

  • 完全代替」関係のケースでは、無差別曲線は「右下がりの直線」の形になります。
  • このような関係にある例としては、「A社のガソリン」と「B社のガソリン」があげられます。

さまざまな無差別曲線についてはこちらの動画にまとめております。


1.消費者理論」の応用編です。

(消費者理論の応用)

(これは『ミクロ経済学書き込みノート』には掲載されていません。)

1-8.労働供給の決定

  • 無差別曲線と予算制約線を用いた分析で、「労働供給」の決定について説明することができます。
  • 2つの財を「所得」と「余暇」とします。
  • 労働時間は、1日の時間(24時間)から余暇の時間を引いたものとしてあらわします。

くわしくはこちらの動画をご覧ください。
労働供給(ミクロ1.消費者理論)16【応用編】 [11:22]

※上の動画は、1:48から始まるように設定しております(その前は、書籍の紹介をおこなっています)。


1.消費者理論」はここまでです。

→ 次回からは「2.生産者理論」の内容についてまなんでいきます。目的は、供給曲線をえがくことです。

ここまでは無料の動画です。

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(有料動画)

『ミクロ経済学書き込みノート』の解説動画

解説動画のご利用(レンタル)は動画配信サービスFilmuyからどうぞ。

1-6.需要曲線と需要の価格弾力性 [09:31](100円)
 

1-7.さまざまな無差別曲線 [04:54](100円)

—-(次回の内容)—-

2-1.生産関数 [10:00](100円)
2-2.費用最小化の条件 [14:17](200円)
2-3.総費用 [04:35](100円)
2-4.限界費用と利潤最大化 [14:24](200円)
2-5.平均費用と平均可変費用 [11:13](200円)
2-6.損益分岐点と操業停止点 [11:56](200円)
2-7.供給曲線 [04:09](100円)

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