(学習の目的)
次に「資本移動が完全」なケースで、「変動相場制度」のケースを分析します。
「資本移動が完全」なケースでは、「変動相場制」では、「財政政策は無効」で「金融政策は有効」になります。
2-1.資本移動が完全(変動相場制度)で財政政策
財政政策は無効×
「資本移動が完全で変動相場制度」のとき、「(拡張的)財政政策は無効」となります。
- 「(拡張的)財政政策をおこなうと、IS曲線が右シフト」し、「利子率は上昇」します。
- 「資本移動が完全」ですので、この高い利子率を求めて、外国から「資本が流入」します。
- 自国内で取引をおこなうために、通貨が必要になりますので、自国通貨への需要が増えて、「超過需要」になります。
- 為替システムは、「変動相場制度」なので、「為替レートは下落」します。
- これは自国通貨に対する「増価」のことですので、「輸出が減少」します。
- 「経常収支は悪化」し「IS曲線は左シフト」します。
- はじめに「右シフト」した「IS曲線」が「左シフト」して元に戻ってしまいますので、「国民所得は変化しない」ことになります。
よって、「資本移動が完全」で「変動相場制」のとき、「(拡張的)財政政策は無効」となります。
2-2.資本移動が完全(変動相場制度)で金融政策
金融政策は有効○
「資本移動が完全で変動相場制度」のとき、「(拡張的)金融政策は有効」となります。
- 「(拡張的)金融政策をおこなうと、LM曲線が右シフト」し、「利子率は下落」します。
- 「資本移動が完全」ですので、相対的に高くなった海外の利子率を求めて、自国から「資本が流出」します。
- 自国通貨への需要は減って、「超過供給」になります。
- 為替システムは、「変動相場制度」なので、「為替レートは上昇」します。
- これは自国通貨に対する「減価」のことですので、「輸出が増加」します。
- 「経常収支は改善」し「IS曲線は右シフト」します。
- 新しい均衡点では、「国民所得は増加」することになります。
よって、「資本移動が完全」で「変動相場制」のとき、「(拡張的)金融政策は有効」となります。
以上をまとめると、「資本移動が完全」なケースではこうなります。
- 「変動相場制度」では「財政政策は無効」
- 「変動相場制度」では「金融政策は有効」
(保留)他のケース
「資本移動が無い」ケース、「資本移動が伸縮的」のケース、「資本移動が硬直的」のケースについても、「固定相場制」と「変動相場制」に分類して、「財政政策」と「金融政策」の効果について分析しておいてください。
→ ミクロ経済学のもくじ
→ 1.消費者理論