(学習の目的)
AS曲線(総供給曲線)は、古典派とケインズ派では考え方が異なります。
ここまでは、財市場において、総需要の分析が中心でした。実際には、総供給は労働市場の状況によって影響を受けます。
AS曲線(総供給曲線)
このAS曲線が何をあらわしているかについては、古典派とケインズ派は異なります。
- まず、ともに、企業が利潤最大化行動をとることは共通しています。そのうえで、次のような違いがあります。
- 「古典派」のAS曲線(総供給曲線)では、「労働市場が均衡」している「物価」と「国民所得」の組合せをあらわします。
- これに対して「ケインズ派」のAS曲線(総供給曲線)では、「企業の利潤が最大」となる「物価」と「国民所得」の組合せをあらわします。
古典派のAS曲線は垂直
古典派のAS曲線は「完全雇用国民所得」の水準で「垂直」の形になります。
- 古典派は、「賃金率」(P)正確には「名目賃金率」が伸縮的であると仮定するため、労働市場では常に「完全雇用」が達成されていると考えます。
- まず、「物価」(P)が上昇すると、「実質賃金率」(W/P)が低下します。
- これは、安く人を使えることですから、「労働需要は増加」して、労働市場は「超過需要」となります。
- 古典派は「名目賃金率(P)が伸縮的)であると仮定するため、この場合「名目賃金率(P)は上昇)します。
- これによって「実質賃金率」(W/P)も上昇し、労働市場では需給が均衡するようになります。
- 労働市場ではつねに「完全雇用」が達成されるため、物価(P)と関係なく、つねに「完全雇用国民所得」が達成されることになります。
よって古典派のAS曲線は「完全雇用国民所得」の水準で「垂直」の形になります。
ケインズ派のAS曲線は右上がり
ケインズ派のAS曲線は通常は「右上がり」の形になります。
- 古典派と異なる理由は、ケインズ派は「名目賃金率は下方硬直的」であると仮定するからです。
- 本来ならばさきほどの古典派と同じように、ケインズ派のAS曲線が右上がりとなる理由について説明すべきなのですが、これはかなり難しいので、現段階では保留としておきます。
- まずは、「ケインズ派のAS曲線は右上がり」であることを確認しておいてください。
ただし、「完全雇用国民所得」の水準では古典派と同じようにケインズ派のAS曲線も「垂直」の形になります。
→ AD-AS分析