5-2b.ソロー=スワン・モデルの式

(学習の目的)
「新古典派」の「ソロー=スワン・」モデルを式で理解します。


(目的)「保証成長率=貯蓄率×1人当たり国民所得/1人当たり資本」

「財市場」が均衡しているときの経済成長率である「保証成長率」(Gw:warranted rate of growth)は、「新古典派」の「ソロー=スワン・モデル」では次の形になります。

Gw = s・y / k

(保証成長率= 貯蓄率×1人当たり国民所得 / 1人当たり資本 )


Gw = s・y / k の導出

これは、「ハロッド=ドーマー・モデル」の
Gw = s/v
に、「資本係数」
v=K/Y
を代入して、
Gw = s・Y / K
の形であらわせば、近い形になります。

この分母と分子を、「労働」(L)で割ります。すると、こうなります。
Gw = s・Y/L / K/L

  • 分子の「Y/L」(=y)は、「労働1単位当たりの国民所得」です。「1人当たりの国民所得」と考えてください。
  • 分母の「K/L」(=k)は、「労働1単位当たりの資本」です。
  • これは、1人の労働者がどれだけの資本を身につけることになるのかをあらわしていることになるので、「資本装備率」といいます。まとめるとこうなります。

(新古典派の保証成長率)
Gw = s・y / k

この「新古典派」の「ソロー=スワン・モデル」には、「資本装備率」(k=K/L)という形で「資本」と「労働」の両方がモデルにくみこまれているのがポイントです。


自然成長率

「労働市場」で「完全雇用」が達成されている「自然成長率」(Gn)は次の形で表されます。これは「ハロッド=ドーマー・モデル」と同様です。

Gn = 労働人口増加率


最適成長条件

よって、「最適成長条件」(Gw=Gn)は次の形になります。

sy / k = 労働人口増加率

「資本減耗」と「技術進歩」があると仮定すると、最適成長条件は次の形になります。

sy / k -資本減耗率 = 労働人口増加率 +技術進歩率


最適成長の安定性

  • 「新古典派モデル」では、「資本係数が可変的」なため、最適成長が「達成されやすい」と考えます。
  • もし最適成長の状態からバランスが崩れたとしても、生産システムが柔軟なので、いずれ最適成長の状態に回復します。

このように「新古典派」の「ソロー=スワン・モデル」では、最適成長は安定的に達成されると考えます。

→ 6.国際マクロ経済学
→ 6-1.国際収支